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公開:2026年9月13日/最終更新:2026年10月3日

有酸素運動をすると筋肉がつかない?
干渉効果を21研究から整理する

「有酸素をやると筋肉が減る」とよく言われます。しかし最近の統合では、筋肉のサイズと最大筋力への影響は小さく、出やすいのは瞬発力や経験者の下肢筋力です。

この記事の要点
  • 1980年の古典実験では、高量の併行で筋力の伸びが後半に鈍った一方、VO2maxの伸びは損なわれなかった。
  • 2012年の21研究422効果量では、併行でも筋肥大0.85・筋力1.44。数字は筋トレのみより小さいが、差がはっきりしたのは瞬発力。「つかない」水準ではない。
  • 2022年の43研究では最大筋力・筋肥大はほぼ差なし。減衰しやすいのは瞬発力で、その差は小さい(SMD −0.28)。
  • 経験者の下肢1RMは同日併行で不利。未経験では差がはっきりしない。
  • 順序は目的次第。動的筋力なら筋トレ先、有酸素能力なら有酸素先、という証拠が対立する。
  • WHOは筋トレ週2日以上、厚労省は週2〜3日。健康目的では両方を取る設計。

よく言われていること——有酸素運動をすると、筋トレの効果が消える。両方やるのは非効率。
研究が示していること——筋力と筋肉のサイズへの影響は、最近の統合では小さいか、ほとんど無いことが多い。影響が出やすいのは瞬発力や、すでに慣れている人の下肢の最大筋力です。健康目的なら、公的ガイドも有酸素と筋トレの両方を勧めています。

「干渉効果」という言葉の出どころ

筋トレと有酸素運動を並行して行うことを、研究では併行トレーニング(concurrent training)と呼びます。両方やると筋トレ単独より効果が落ちる現象を干渉効果といいます。

出発点は1980年の実験です。筋力だけの群、持久だけの群、両方を同じ日に行う群を約10週間比べました。筋力群は1日30〜40分・週5日、持久群は1日40分・週6日という、かなり多い量です(Hickson, 1980, European Journal of Applied Physiology and Occupational Physiology)。

併行群の脚の筋力の伸びは、最初の7週は筋力単独と似ていました。ところが9週目と10週目で頭打ちになり、その後は下がる方向でした。一方、最大酸素摂取量(VO2max)は、自転車測定でおよそ25%、トレッドミルでおよそ20%増え、持久単独と同程度でした。著者の結論は、「同時に鍛えると筋力を伸ばす力が落ちうるが、VO2maxの伸び自体は損なわれない」というものです。

ここから「有酸素は筋肉を減らす」という言い方が広まりました。ただしこれは高頻度・長時間の古典実験です。週に数回ジムに通う大人の生活とは、量が違います。次の節から、あとから集まった研究を見ます。

両方やると、本当に筋肉はつかないのか?

21件の研究から422の効果量を集めたメタ分析があります(Wilson et al., 2012, Journal of Strength and Conditioning Research)。筋トレだけ、有酸素だけ、両方、の3つを比べたものです。

効果量は変化の大きさを表す数字で、0.2で小さい、0.5で中くらい、0.8で大きい、が目安です。

測ったもの筋トレのみ両方(併行)有酸素のみ
筋肉のサイズ1.230.850.27
筋力1.761.440.78
パワー(瞬発力)0.910.550.11

読み方を整理します。

  • 両方やった群は、3つすべてで「中くらい〜大きい」効果を得ています。筋肉のサイズ0.85、筋力1.44。これは「つかない」という水準ではありません。
  • 筋トレだけの群のほうが数字は上です。ただし、偶然を超える差として示されたのはパワー(瞬発力)だけです。筋肉のサイズと筋力では、筋トレのみと併行の差ははっきりしませんでした(Wilson et al., 2012)。
  • しかし有酸素だけの群とは、はっきり差がついています。筋肉のサイズで0.85 対 0.27、筋力で1.44 対 0.78。

つまり「有酸素をやると筋肉がつかない」ではなく、「瞬発力は伸びが小さくなりうるが、サイズと筋力は大きく損なわれない」が、この2012年時点の整理です。多くの人にとって、比較すべき相手は「筋トレだけの自分」ではなく「何もしない自分」です。

2012年以降のまとめでは、何が変わったか

Wilson らのあと、研究は増えました。43件をまとめた更新メタ分析では、筋トレ単独と同じ処方の筋トレに有酸素を足した群を比べています(Schumann et al., 2022, Sports Medicine)。

測ったもの標準化平均差(SMD)読み方
最大筋力−0.06(95%CI −0.20〜0.09、p=0.446)差はほとんど無い
瞬発力−0.28(95%CI −0.48〜−0.08、p=0.007)小さい減衰(偶然とは考えにくい差)
筋肉のサイズ−0.01(95%CI −0.16〜0.18、p=0.919)差はほとんど無い

著者らの結論ははっきりしています。筋肉のサイズと最大筋力の伸びは、併行でも損なわれない。一方、瞬発力の伸びは鈍りうる。とくに有酸素と筋トレを同じセッションで行うと、瞬発力の減衰が強く出ました(p=0.043)。セッションを少なくとも3時間空けた比較では、その減衰ははっきりしませんでした。

経験の違いも重要です。下肢の1回最大挙上(1RM)を27件で比べたメタ分析では、次のように分かれました(Petré et al., 2021, Sports Medicine)。ここでの「経験者」は、競技者か、3か月以上決まったトレーニングを続けている人です。「中程度」は、体を動かす習慣はあるが、決まったトレーニングはしていない人です。

  • 経験者:併行は筋トレ単独より不利(効果量 −0.35、p<0.01)。小さい不利です。
  • 中程度の経験:−0.20、p=0.08。不利の傾向はありますが、偶然の範囲を超えるとは言えません。
  • 未経験:0.03、p=0.87。差は見えない、に近いです。

経験者の不利は、同じセッションで両方やるときに限ってはっきりしました(同日 −0.66、別セッション −0.10)。著者らは、最大筋力を優先する時期の経験者は、持久と筋トレを分けることを勧めています。なお Schumann らの統合では、未経験か活動的かで結果は変わりませんでした(Schumann et al., 2022)。

まとめると、最近の統合は「両方やると筋肉が消える」ではなく、サイズと最大筋力への干渉は小さく、瞬発力と一部の経験者で出やすい、という形です。ジャンプや短距離の伸びを最優先する人ほど、設計を丁寧にしたほうがよい、と読めます。

干渉が起きるのは、どんなときか?

Wilson らのメタ分析は、どういう条件で干渉が起きるのかも調べています。

1. 走ったときだけ干渉が起きた、という2012年の結果

筋トレと組み合わせた有酸素運動が「ランニング」だった場合には、筋肉のサイズと筋力の両方に有意な低下が見られました。しかし「自転車」の場合には、低下は見られませんでした。(Wilson et al., 2012)

同じ有酸素運動でも、種目によって結果が違った、というのが当時の整理です。走る動作は着地の衝撃を繰り返し受け、脚の筋肉が伸ばされながら力を出す場面が多くなります。この違いが関係している可能性はありますが、メカニズムは、この研究からは特定できません。

一方、Schumann らの2022年の統合では、自転車か走るかで研究を分けて比べても、最大筋力・瞬発力・筋肉全体の太さに差は見られませんでした。Wilson と向きがそろわない点です。どちらが「正しい」と決めるより、条件と測り方が違うと見るのが安全です。

測る層を変えると、また別の絵になります。同じ研究グループが、筋線維の大きさだけを取り出して調べ直した解析(15件)もあります(Lundberg et al., 2022, Sports Medicine)。筋線維全体では小さい不利の可能性があり(SMD −0.23、小さい。統計的に有意かどうかの境目)、遅筋線維(タイプI)では、ランニングを組み合わせたときだけ不利が目立ちました(SMD −0.81、大きい)。著者らはこれを「予備的な証拠」としています。

2. 有酸素の時間・回数と、干渉の関係

Wilson らの分析では、有酸素運動の時間と頻度は、筋肥大・筋力・パワーのいずれとも負の相関を示しました。

有酸素運動の条件相関係数読み方
1回あたりの時間−0.29 〜 −0.75長いほど干渉が大きい傾向。相関は弱い〜強い(測ったものによって幅がある)
週あたりの頻度−0.26 〜 −0.35多いほど干渉が大きい傾向。相関は弱め

相関係数は−1から+1の値を取り、絶対値が大きいほど関係が強いことを示します。時間のほうが、頻度よりはっきりした関係を持っていました。著者らの結論は、「干渉効果は、選択された持久的トレーニングの種目・頻度・時間の関数である」です。つまり2012年の時点では、干渉は「有酸素をやったかどうか」より、どれだけやったかと関連していた、という整理です。

Schumann らの統合では、併行の週回数(週5回超かそれ未満か)で結果は変わりませんでした。Wilson らが見つけた「有酸素の時間が長いほど筋肥大が小さい」という関係も、この統合では確かめられませんでした。研究どうしを比べた相関は因果ではないため、数字をそのまま「週何回まで安全」と読み替えないでください。

どちらを先にやるべきか

Wilson らのメタ分析は、実施順序までは分析していません。順序だけを見た統合と、個別の実験を分けて見ます。

順序のメタ分析(筋力側)

同一セッション内の順序を、10件・5週以上のプログラムで比べたメタ分析があります(Eddens et al., 2018, Sports Medicine)。

  • 下肢の動的筋力:「筋トレ→持久」のほうが、「持久→筋トレ」より改善が大きい(加重平均差 6.91%ポイント、95%CI 1.96〜11.87、p=0.006)。
  • 下肢の筋肥大:順序差なし(1.15%、95%CI −1.56〜3.87、p=0.40)。
  • 下肢の静的筋力・最大有酸素能力・体脂肪率:順序差なし。

著者らの結論は、動的筋力を伸ばしたいなら、同じ日なら筋トレを先に、という向きです。筋肥大そのものは、順序を入れ替えても差が出にくい、とも読めます。

有酸素能力を測った12週間の比較

男子スポーツ学生48名を、最大有酸素スピードで均質な5群に分けた研究があります(Chtara et al., 2005, British Journal of Sports Medicine)。週2回・12週間のトレーニングを行い、順序の効果を調べました。

群内容
E(10名)ランニングの持久トレーニングのみ
S(9名)筋力サーキットトレーニングのみ
E+S(10名)同じセッション内で持久 → 筋力の順
S+E(10名)同じセッション内で筋力 → 持久の順
C(9名)対照群

4kmタイムトライアルの改善は、E+S 8.6%、E 5.7%、S+E 4.7%、S 2.5%でした。最大有酸素スピードやVO2maxでも、E+Sが他群より大きく伸びました。著者らは、持久の直後に筋力サーキットを置く順序が、有酸素側の改善に有利と結論しています。ただし、この研究が測ったのは有酸素側の成果です。筋肥大は測定されていません。

体の中で何が起きているのか(動物実験)

順序が結果を変える理由について、分子レベルで調べた研究があります(Ogasawara et al., 2014, American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism)。これは、筋トレの代わりに電気刺激で筋肉を縮めた、オスのラットの実験である点に注意してください。

オスのラットを5群に分けました。持久運動のみ、抵抗運動のみ、持久→抵抗、抵抗→持久、非運動対照です。筋タンパク質合成を促す経路の指標(p70S6Kのリン酸化)は両順序で増えましたが、「抵抗→持久」のほうが増加が小さかった。タンパク質合成は「持久→抵抗」で、抵抗運動の6時間後に大きく増えた。エネルギー不足を感知する経路(AMPKとRaptorのリン酸化)は「抵抗→持久」でのみ増加しました。

おおまかに言うと、こういう話です。筋トレは「筋肉を作れ」という信号を出します。持久運動は「エネルギーが足りない」という信号を出します。筋トレの後に持久運動をすると、せっかく立ち上がった「作れ」の信号の上に「足りない」の信号がかぶさる——という説明になります。著者らも、最後の運動が分子応答を左右する、と書いています。ただしヒトの長期成績を保証するものではありません。

実用的な結論(対立を残す)

ここまでで、向きがそろっていません。

  • 下肢の動的筋力を優先するなら、Eddens らの統合は筋トレ→有酸素を支持します。
  • 走力や有酸素能力を優先するなら、Chtara らの実験は有酸素→筋トレを支持します。
  • 筋肉のサイズでは、順序差は小さく出ることが多いです(Eddens et al., 2018)。
  • 日を分ければ、同日順序の問題自体が小さくなります。Petré らでも、経験者の不利は別セッションでははっきりしませんでした。

「どちらが先か」は、何を伸ばしたいかで変わります。迷って運動が減るなら、続けられる順で十分です。

一般の人にとって、これは何を意味するか

実験の被験者には、競技者やトレーニング経験者が多く含まれます。数字をそのまま当てはめることはできません。それでも、方向性としては次のことが言えます。

  • 週に数回ウォーキングや自転車をしながら筋トレをしても、筋肉が「つかなくなる」水準ではありません。Schumann らの統合でも、サイズと最大筋力は筋トレ単独とほぼ同じでした。干渉が問題になりやすいのは、長時間・高頻度の持久、同日の高負荷、瞬発力の最大化、すでに慣れている人の下肢1RM、といった条件です。
  • 気になるなら、有酸素の種目を自転車にする。Wilson らでは自転車での干渉は見られませんでした。Schumann らでは種目による差は見られませんでしたが、線維レベルでは走の不利を示す同じグループの予備的な報告もあります(Lundberg et al., 2022)。負担を下げたい人の選択肢としては、まだ合理的です。
  • 有酸素の時間と干渉の関係は、研究によって結果が分かれています。2012年の分析では、有酸素の時間が長い研究ほど干渉が大きい、という関連が見られました。ただし、これは研究どうしを比べた関連で、2022年の統合(Schumann et al., 2022)では筋肥大についてこの関係は確かめられませんでした。長時間の持久運動を毎日のように重ねる人以外は、気にしすぎなくてよい、くらいの読み方にとどめてください。
  • 同じ日にやるか、別の日にするか。筋力や瞬発力を伸ばしたい時期は、可能なら日や時間を分ける価値があります。時間が取れないなら、目的に合わせて順序を決め、完璧を求めすぎないほうが続きます。

そもそも、多くの人にとって筋肉を最大化することは目的ではありません。心肺機能と筋力はどちらも健康に関わる別々の要素で、両方に取り組むこと自体に価値があります。「どちらかに絞らないと無駄になる」という考え方は、ここまでの研究からは支持されません。

筋トレの「週何回・何セット」そのものは、筋トレは週何回が正解かで扱っています。有酸素運動の消費カロリーについては期待とずれが大きい領域です。こちらは運動の消費カロリーは思ったより小さいで扱っています。

健康のためなら、公的ガイドも「両方」を勧める

干渉効果の実験は、「筋トレの伸びを最大化するか」に寄りがちです。健康づくりの目安は、別の文書に書かれています。

WHO は成人に、有酸素運動に加えて筋力強化を週2日以上勧めています(Bull et al., 2020, British Journal of Sports Medicine)。厚生労働省のガイドも、筋トレを週2〜3日勧めています(厚生労働省, 2024)。どちらも「両方」を取る設計です。詳しくは 筋トレは週何回が正解かで扱っています。

つまり公衆衛生の最低ラインは、「有酸素か筋トレか」ではなく両方です。干渉を気にして片方を捨てる必要は、健康目的では乏しい、と読めます。量の増やし方や、続かない理由の切り分けは、続かない理由を5つに切り分けるも参照してください。

次に当てはまる方は、自己流で負荷を急に上げる前に、主治医やかかりつけ医に相談してください。

  • 心臓病・脳卒中・高血圧・糖尿病など、治療中の慢性疾患がある
  • 胸の痛み、強い息切れ、めまい、失神しそうな感じがある
  • 関節や背中に強い痛み・腫れ・骨折や手術の直後がある
  • 長期間ほとんど運動しておらず、いきなり長いランニングと重い筋トレを同日に始めようとしている

痛みが強く続く、尿の色が濃い(コーラ色に近い)、力が入らない、といった変化があれば、運動を続けず医療機関の判断を優先してください。ここに書いたことは一般的な情報提供であり、医学的助言ではありません。

この記事の限界

  • Wilson らのメタ分析は2012年時点・21件です。その後のSchumann ら(43件)やPetré ら(27件)と、結論の細部は一致しません。種目差や経験差は、研究によって出方が違います。
  • 参加者の多くはトレーニング経験者や競技者、または実験室の健常成人です。運動習慣のない人が始める場合、干渉より「どちらもよく伸びる」効果のほうが大きく出る可能性があります(Petré らの未経験層)。
  • 相関は因果ではありません。「時間が長いほど干渉が大きい」という関係は観察されましたが、後年の統合では確かめられておらず、時間そのものが原因だと確定したわけではありません。
  • 順序の推奨はアウトカムで対立します。動的筋力では筋トレ先、有酸素能力では有酸素先、という証拠が並びます。片方だけを「正解」と読まないでください。
  • 分子機構の研究はラットです。ヒトで同じことが長期に起きる保証はありません(Ogasawara et al., 2014)。
  • 効果量は集団の平均です。個人差があります。外国の実験を、日本の一般成人にそのまま当てはめられるとは限りません。
  • 持病のある方は、運動の種類と量について主治医にご相談ください。ここに書いたことは一般的な情報提供であり、医学的助言ではありません。

出典

  • Hickson, R. C. (1980). Interference of strength development by simultaneously training for strength and endurance. European Journal of Applied Physiology and Occupational Physiology. doi:10.1007/bf00421333
  • Wilson, J. M. et al. (2012). Concurrent training: a meta-analysis examining interference of aerobic and resistance exercises. Journal of Strength and Conditioning Research. doi:10.1519/jsc.0b013e31823a3e2d
  • Chtara, M. et al. (2005). Effects of intra-session concurrent endurance and strength training sequence on aerobic performance and capacity. British Journal of Sports Medicine. doi:10.1136/bjsm.2004.015248
  • Ogasawara, R. et al. (2014). The order of concurrent endurance and resistance exercise modifies mTOR signaling and protein synthesis in rat skeletal muscle. American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism. doi:10.1152/ajpendo.00647.2013
  • Eddens, L. et al. (2018). The Role of Intra-Session Exercise Sequence in the Interference Effect: A Systematic Review with Meta-Analysis. Sports Medicine. doi:10.1007/s40279-017-0784-1
  • Petré, H. et al. (2021). Development of Maximal Dynamic Strength During Concurrent Resistance and Endurance Training in Untrained, Moderately Trained, and Trained Individuals: A Systematic Review and Meta-analysis. Sports Medicine. doi:10.1007/s40279-021-01426-9
  • Schumann, M. et al. (2022). Compatibility of Concurrent Aerobic and Strength Training for Skeletal Muscle Size and Function: An Updated Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Medicine. doi:10.1007/s40279-021-01587-7
  • Lundberg, T. R. et al. (2022). The Effects of Concurrent Aerobic and Strength Training on Muscle Fiber Hypertrophy: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Medicine. doi:10.1007/s40279-022-01688-x
  • Bull, F. C. et al. (2020). World Health Organization 2020 guidelines on physical activity and sedentary behaviour. British Journal of Sports Medicine. doi:10.1136/bjsports-2020-102955
  • 厚生労働省 (2024). 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023. 厚生労働省 身体活動・運動ガイド

さらに詳しく知りたい方へ

「有酸素か筋トレか」で迷う必要はありません。
心肺機能と筋力は健康に関わる別々の要素で、両方に取り組むこと自体に価値があります。ヨガやピラティスは、この2つの中間に位置する運動として選ばれることが多いものです。実際に何が期待でき、何が期待できないのかは、オンザショア立川店のサイトに、腰痛・体組成・姿勢・メンタルヘルスなどアウトカム別の一次文献ベースの記事があります。

種目の選び方そのものは、目的別の選び方に、公式情報だけで整理してあります。

このサイトと上記2サイトは、いずれも株式会社エッセンが運営しています。利害関係を明示したうえで、本文では効果を断定していません。

この記事のまとめ

  • 1980年の古典実験では、高量の併行で筋力の伸びが後半に鈍った一方、VO2maxの伸びは損なわれなかった。
  • 2012年の21研究では、併行でも筋肥大0.85・筋力1.44と中〜大の効果。数字は筋トレのみより小さいが、差がはっきりしたのは瞬発力。
  • 2022年の43研究では、最大筋力と筋肥大は筋トレ単独とほぼ同じ。減衰しやすいのは瞬発力。
  • 経験者の下肢1RMは同日併行で不利が出やすい。未経験では差がはっきりしない。
  • 順序は目的次第。動的筋力なら筋トレ先、有酸素能力なら有酸素先、という証拠が対立する。
  • WHOは有酸素に加え筋トレ週2日以上、厚労省ガイド2023は筋トレ週2〜3日を推奨。
  • 持病・胸痛・急な高負荷は相談を。医学的助言ではない。

よくある質問

有酸素運動をすると筋肉が減りますか?

43研究の更新メタ分析では、筋肉のサイズと最大筋力は筋トレ単独と比べてほとんど差がありませんでした(Schumann et al., 2022)。2012年の21研究でも、併行群の効果量は筋肥大0.85・筋力1.44で中〜大です(Wilson et al., 2012)。ただし、筋トレのみと併行の差がはっきりしたのは瞬発力でした。「つかない」ではなく、条件によって伸びがやや小さくなる、が近い表現です。

どんなときに干渉が起きますか?

減衰しやすいのは瞬発力で、同じセッションで両方やるときに強く出る、という統合があります(Schumann et al., 2022)。経験者の下肢1RMも、同日併行でのみ不利がはっきりしました(Petré et al., 2021)。2012年の分析では、走る併用と長い時間が干渉と関連していましたが、この関連は後年の統合では確かめられていません(Wilson et al., 2012; Schumann et al., 2022)。

筋トレと有酸素、どちらを先にやるべきですか?

目的で分かれます。下肢の動的筋力なら筋トレ→有酸素が有利、というメタ分析があります(Eddens et al., 2018)。有酸素能力なら有酸素→筋トレが有利だった実験もあります(Chtara et al., 2005)。筋肥大では順序差は小さいことが多いです。迷うなら日を分けると、同じ日の順序の影響は小さくなります(Petré et al., 2021)。

週2〜3回のウォーキングと筋トレを両方やっても大丈夫ですか?

健康目的なら、むしろ推奨に近い組み合わせです。WHOは有酸素に加え筋トレを週2日以上、厚労省ガイド2023は筋トレ週2〜3日を勧めています(Bull et al., 2020; 厚生労働省, 2024)。未経験層では下肢1RMの不利もはっきりしません(Petré et al., 2021)。

どちらか一方に絞るべきですか?

心肺機能と筋力は別の健康要素で、公的ガイドも両方を取る設計です(Bull et al., 2020; 厚生労働省, 2024)。サイズと最大筋力への干渉は最近の統合では小さく、絞らないと無駄、という考え方は支持されません(Schumann et al., 2022)。