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公開:2026年9月13日/最終更新:2026年10月3日

筋肉痛は乳酸のせいではない
遅発性筋痛を研究で整理する

よく言われるのは「乳酸のせい」「ストレッチで防げる」。研究が示すのは、乳酸だけでは説明がつかないことと、ストレッチで減る痛みは100点満点で1点前後だということです。

この記事の要点
  • 翌日に来る痛みは遅発性筋痛(DOMS)。伸ばされながら力を出す動きや、久しぶりの種目で起きやすい。
  • 原因仮説は6つ。乳酸説はそのひとつで、単独では説明されない。
  • 痛みの強さは損傷の大きさの物差しにならない(回数が5倍でも押したときの痛みは変わらなかった)。
  • ストレッチの予防効果は100点満点で0.5〜1点前後。臨床的に意味のある減少ではない。
  • 回復法の比較ではマッサージがもっとも効果的とされる一方、マッサージ単体のまとめは「小さい改善」と控えめ。成績向上の証拠は乏しい。
  • NSAIDsは若年の高用量常用で適応を弱める報告と、高齢者では抑制されない報告があり単純化できない。

よく言われていること——筋肉痛は乳酸がたまるせい。ストレッチをすれば防げる。
研究が示していること——乳酸だけでは説明がつかない。ストレッチで減る痛みは100点満点で1点ほど。回復法を比べるとマッサージの効果量が大きく出る一方、別のまとめでは、著者自身が「小さい改善」と控えめに評価しています。

筋肉痛は、なぜ次の日に来るのか?

運動した直後ではなく、半日から一日おいてやってくる痛み。これには名前があります。遅発性筋痛(delayed onset muscle soreness、略して DOMS)といいます。「遅れて発生する筋肉の痛み」という、そのままの名前です。

この痛みが出やすい動きには特徴があります。筋肉が伸ばされながら力を出す動きです。専門的には「エキセントリック収縮」と呼びます。階段を下りる、坂を下る、ダンベルをゆっくり下ろす、しゃがみ込む——こうした動きです。

不思議に思うかもしれません。上る方がきついのに、痛くなるのは下った翌日です。これは、伸ばされながら踏ん張るときに、筋肉の内部で微細な損傷が起きやすいからだと考えられています。

研究のまとめによると、DOMS が最も多く起きるのはシーズンの初め、つまりしばらく休んでいた人が運動を再開したときです。また、時期に関係なく初めてやる種類の運動でも起こります(Cheung et al., 2003, Sports Medicine)。慣れていない動きが原因であって、頑張りが足りないからでも、頑張りすぎたからでもありません。

乳酸が原因、という説はどうなったのか?

「筋肉痛は乳酸がたまるから」という説明を聞いたことがある方は多いと思います。これは長く広まった説明ですが、現在の研究では、乳酸だけで説明できるとは考えられていません。

DOMS の原因については、これまでに6つの仮説が提案されてきました(Cheung et al., 2003)。

仮説内容
乳酸説運動で生じた乳酸が蓄積して痛みを起こす
筋痙攣説筋肉が局所的に痙攣し続けて痛む
結合組織損傷説筋肉を包む膜や腱の側が傷つく
筋損傷説筋線維そのものが微細に損傷する
炎症説損傷に対する炎症反応が痛みを生む
酵素流出説損傷した細胞から酵素が漏れ出す

この総説の著者らは、「2つ以上の説を統合したものが、筋肉痛を説明する可能性が高い」と述べています。つまり、ひとつの原因に絞る段階にはまだ来ていません。乳酸説は候補の一つとして残ってはいますが、それ単独で説明できるという立場は取られていません。

ここは正直に書きます。「乳酸は完全に無関係だと証明された」と言い切れるほど、話は単純ではありません。言えるのは、「乳酸のせい」という一言で片づけられる現象ではないということです。

痛みの強さは、傷の大きさを表していない

ここで、多くの人の直感に反する研究を紹介します。「遅発性筋痛は、エキセントリック運動による筋損傷の大きさを反映しない」という題名の論文です(Nosaka et al., 2002, Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports)。

デザインは明快です。男子学生110名を3群に分け、肘を曲げる筋肉に最大のエキセントリック収縮を行わせました。

群回数
12ECC群12回
24ECC群24回
60ECC群60回(12回群の5倍)

運動の前後と、その後4日間にわたって、次の項目を測定しています。最大等尺性筋力、肘関節の角度(伸ばしきれるか)、上腕の周囲径(腫れ)、そして血液中のクレアチンキナーゼ(筋の損傷で血中に漏れ出す酵素)。痛みは50mmの視覚アナログスケール(0が痛みなし、50が極度に痛い)で、押したとき・曲げたとき・伸ばしたときの3通りを評価しました。

回数は5倍違い、損傷も大きくなったのに、押したときの痛みは変わらなかった

まず、損傷の指標です。24回群と60回群は、12回群に比べてすべての指標で偶然とは考えにくい差(統計的に有意、P < 0.05)を示し、回復も遅くなりました。ここは予想どおりです。

ところが、痛みは違いました。

押したときの痛みと、曲げたときの痛みには、12回群と24回群のあいだにも、12回群と60回群のあいだにも、有意差がありませんでした。回数が5倍で損傷の指標もはっきり違ったのに、痛みの強さは変わらなかったということです。

伸ばしたときの痛みだけは、12回群が有意に低い結果でした。痛みの測り方によって結果が変わるということでもあります。

さらに相関を調べると、押したときの痛みは、他のどの損傷指標とも有意な相関を示しませんでした。曲げたとき・伸ばしたときの痛みは、弱い相関(r < 0.32)にとどまりました。相関係数0.32は「かすかに関係がある」という程度です。

これが意味すること

実用的な含意は、2つあります。

  • 「ひどく痛い=ひどく傷ついた」ではありません。痛みが強くても損傷が大きいとは限らず、痛みが軽くても損傷がないとは限りません。
  • 逆に、「痛くないから大丈夫」とも言えません。痛みを損傷の目安として使うこと自体に無理があります。

「筋肉痛が来ないと効いた気がしない」という感覚は、この研究とは相性が悪いということになります。筋肉痛は、筋肉がどれだけ傷ついたかの目安にもなりにくい。まして、トレーニングがどれだけ効いたかの物差しにする根拠はありません。

ストレッチで防げるのか?

これについては、質の高い答えがあります。コクラン共同計画という、医療の効果を厳しく評価する国際的な組織がまとめたレビューです(Herbert et al., 2011, Cochrane Database of Systematic Reviews)。

12件の研究が対象になりました。そのうち1件は参加者2,377名という大規模なもので、1,220名がストレッチを割り当てられました。残り11件は、ストレッチ群が10〜30名の小さな研究です。バイアスのリスクは中程度から高く、証拠の確かさは「低い〜中程度」と評価されています。

結果を、痛みを100点満点に換算して示します。表のマイナスは、ストレッチをした群のほうが痛みが少なかったことを表します。

いつストレッチしたか翌日の痛みの差(ストレッチ群−対照群、マイナスが減少)読み方
運動の前−0.52点(95%信頼区間 −11.30〜10.26)信頼区間が0をまたいでおり、差があるとは言えない
運動の後−1.04点(95%信頼区間 −6.88〜4.79)同上
前と後の両方(大規模研究1件)1週間のピーク時で−3.80点(95%信頼区間 −5.17〜−2.43)統計的には有意。ただしレビュー著者自身が「非常に小さい」と明記

「95%信頼区間」というのは、真の値がありそうな範囲のことです。この範囲に0が含まれていると、「効果がない」という可能性を否定できないという意味になります。前2つはまさにその状態です。

レビューの結論はこうです。「運動の前、後、あるいは前後のいずれにストレッチを行っても、健康な成人において臨床的に意味のある程度には遅発性筋痛を減らさない」。

100点満点で1点というのは、痛みの感じ方として区別できる差ではありません。ストレッチに他の目的(可動域を保つ、気分を整える)があるなら続けてかまいませんが、筋肉痛を防ぐ手段としては期待しないほうがよい、というのが現時点の答えです。運動直前の静的ストレッチと力の関係は、ストレッチの記事でも扱っています。

回復法を比べると、何が効くのか?

なってしまったあとの回復法を99研究まとめて比べたメタ分析があります(Dupuy et al., 2018, Frontiers in Physiology)。著者らは、マッサージが筋肉痛と主観的な疲労をやわらげるのにもっとも効果的と思われる、と書いています。回復法ごとの一覧と比較は回復の記事で扱っているので、ここでは要点だけにします。

一方、マッサージだけを29研究・1,012人でまとめた別の分析は、温度が違います(Davis et al., 2020, BMJ Open Sport & Exercise Medicine)。筋力や持久力といった成績の指標には改善の証拠が見つからず、筋肉痛については「13%ほど和らぐ。小さいが偶然とは考えにくい改善」と、控えめに評価しています。

2つのまとめは、数字よりも言い方が違います。Dupuy らは「もっとも効果的と思われる」と書き、Davis らは同じような研究から「小さいが偶然とは考えにくい改善」と書いています。Davis らの分析では、研究ごとの結果のばらつきが大きいことも、控えめな言い方につながっています。安全側にまとめると、マッサージで筋肉痛はいくらか和らぐ。ただし「劇的に効く」と期待するほどではなく、パフォーマンスそのものを上げる効果は確認されていません。

気持ちよさや、体を点検してもらう機会としての価値は、これらの数字には表れません。そこを目的にするなら、効果量の議論とは別に判断してよい部分です。

2回目は、なぜ痛くならないのか?

経験的にご存じの方も多いと思います。久しぶりの運動で強烈に痛んでも、次の週に同じことをすると、痛みはずっと軽くなります。

これには名前がついていて、「反復運動効果」(repeated bout effect)と呼ばれます。一度エキセントリック運動を行うと、その後の同様の運動による筋損傷から筋肉が守られるという適応です(McHugh, 2003, Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports)。

ただしこの総説は、「その仕組みはまだよく分かっていない」とも明記しています。神経の使い方が変わる、結合組織が強くなる、炎症の反応が変わる——いくつもの説明が提案されていますが、決着はついていません。

2017年の総説は、もう少し枠を広げて整理しています(Hyldahl et al., 2017, Exercise and Sport Sciences Reviews)。神経適応、筋の力学的な性質の変化、細胞外マトリックス(筋を支える網目状の構造)の再構築、生化学的なシグナルが協調して防御適応を担う、という提案です。それでも著者らは、「なお十分には理解されていない」と前置きしています。

実用的な意味は明快です。最初の1回が一番痛い。そこを乗り越えれば、同じ運動での筋肉痛は自然に軽くなっていきます。「毎回この痛みが続くのか」と不安になる必要はありません。ブランク明けに強度を一気に戻さない、という設計にもつながります(続け方の記事)。

痛み止め(NSAIDs)は、筋肉の適応を弱めるのか?

筋肉痛がつらいと、市販の消炎鎮痛薬(NSAIDs)に手が伸びることがあります。痛みを抑える目的としては一般的ですが、筋トレの適応との関係は、年齢や比べた相手によって結果が割れています。

若年成人(18〜35歳)を対象にした無作為化試験では、8週間の膝伸ばしトレーニング中に、イブプロフェンを1日1,200mg(論文の国での市販薬の上限量、n=15)または低用量のアセチルサリチル酸75mg(n=16)を毎日飲みました(Lilja et al., 2018, Acta Physiologica)。大腿四頭筋の体積増加は、低用量群で平均7.5%、イブプロフェン群で3.7%でした(群差34cm3、P = 0.029)。筋肉の太さの伸びは、イブプロフェン群で小さくなりました。筋力は、通常のマシンで鍛えた脚では差が無く、全力で鍛えた脚では低用量群のほうが伸びていました。

一方、高齢者を対象にした二重盲検試験では、向きが違いました(Trappe et al., 2011, American Journal of Physiology-Regulatory, Integrative and Comparative Physiology)。36人が12週間のレジスタンストレーニングを行い、プラセボ、アセトアミノフェン1日4g、イブプロフェン1日1.2gのいずれかを服用しました。薬物群では筋体積がアセトアミノフェンで109±14cm3(12.5%)、イブプロフェンで84±10cm3(10.9%)増え、プラセボ群の69cm3(8.6%)を上回りました(初めの筋肉の大きさをそろえた比較)。抑制ではなく、むしろ増大側に見えたと著者らは述べています。

同じ「痛み止め」でも、若い人と高齢の人で結果が反対方向に出ています。イブプロフェンの量はどちらも1日1.2gでした。年齢・比べた相手(低用量アスピリンかプラセボか)・期間が違うため、「NSAIDs は筋トレに悪い/良い」と一言ではまとめられません。スポーツ成績そのものを上げる効果も、運動中の痛みを和らげる効果も、健常者のメタ分析でははっきりとは示されていません(Cornu et al., 2020, Sports Medicine - Open)。

実用の読み方は控えめです。筋肉痛を抑えるために高用量を日常的に飲む設計は、少なくとも若年者では適応を鈍らせる報告があります。持病や常用薬がある方、長期に飲む必要がある方は、自己判断せず医療機関や薬剤師に相談してください。この記事は服薬の指示ではありません。

では、どうすればよいのか?

予防について、確実に効くと言える方法は、残念ながらありません。ただし、次の点は研究から言えます。

  • 新しい運動は、最初から全力でやらない。初回は量と強さを控えめにし、1〜2週間かけて段階的に増やします(Cheung et al., 2003)。量を減らせば痛みが必ず軽くなるとは限りませんが、損傷や生活への支障は抑えやすくなります。
  • ストレッチは、筋肉痛予防としては期待しない。やって悪いものではありませんが、効果は100点満点で1点程度です。
  • マッサージは、痛みの主観をいくらか和らげうる。ただし「劇的」ではなく、運動成績を上げる証拠は乏しいです。
  • 痛みが引くまで数日かかるのは正常です。異常ではありません。
  • 痛み止めの常用は、目的と年齢を分けて考える。若年者の高用量常用は適応を弱める報告があります。

そして、ここが実はいちばん重要です。Cheung らの総説は、DOMS が関節の動く範囲、着地の衝撃を吸収する能力、最大の筋力を低下させると報告しています。さらに筋肉の使われる順番や動員のパターンが変わるため、普段とは違う負担が靱帯や腱にかかります。

痛みが残っているうちに早く復帰しようとすると、別の怪我のリスクが上がります。これは「根性がない」という話ではなく、体の動かし方が実際に変わってしまっているためです。痛む間は、同じ部位に強い負荷をかけない。これが最も確かな対処です。

量の積み方そのものは、筋トレの回数・量の記事も参照してください。

通常の筋肉痛ではないとき——受診の目安

多くの DOMS は数日でやわらぎます。一方で、横紋筋融解症のように、筋組織の崩壊が強く、腎臓などに影響しうる状態があります。2015年版の熱中症診療ガイドラインでも、重症例の臓器障害のひとつとして横紋筋融解症が挙げられています(日本救急医学会, 2015)。

米国国立医学図書館の一般向け解説(MedlinePlus)は、横紋筋融解症の症状として次を挙げています。濃い赤色やコーラ色の尿、尿量の減少、全身の脱力、筋の硬直やつっぱる痛み、圧痛、患部の筋力低下などです。原因の例には、激しい運動(マラソンや激しい体操など)、コレステロールの薬(スタチン)、暑さや寒さの極端な環境、ひどい脱水が含まれます。予防としては、激しい運動のあとに十分に水分をとることが挙げられています(MedlinePlus, 2025)。

次のようなときは、通常の筋肉痛として様子を見ないでください。尿の色が濃い(赤〜コーラ色)、尿の量が明らかに減った、全身や痛む筋肉に力が入らない——こうした症状は横紋筋融解症で挙げられているものです(MedlinePlus, 2025)。コレステロールの薬(スタチン)を飲んでいる方、暑い中や水分が足りない状態で激しく運動した方は、とくに注意してください。思っていたより痛みや腫れが強い・長引くときも、自己判断せず受診してください。ここに書いたことは一般的な情報提供であり、診断や治療の指示ではありません。

この記事の限界

  • コクランレビューが対象とした研究は、質が高いものばかりではありません。すべての研究が中程度から高いバイアスのリスクにさらされており、エビデンスの確実性は「低い〜中程度」と評価されています。
  • 大規模研究1件を除き、ストレッチ研究の参加者は10〜30名と小規模です。数字はそのまま一般化できません。
  • 回復法のメタ分析は、介入の長さ・タイミング・対象が研究ごとに違います。とくにマッサージ単体の分析は研究ごとの結果のばらつきが大きく、数字だけを信じない方がよいです。
  • DOMS の原因はまだ確定していません。6つの仮説のうちどれが、どの程度寄与しているのかは分かっていません。本文の説明も暫定的なものです。
  • 「反復運動効果」の仕組みも未解明です。現象としては確立していますが、なぜ起こるかは分かっていません。
  • NSAIDs の試験は、若年と高齢で結果の向きが違います。対象・比べた相手・期間が違うためで、日本人の一般的なジム利用者への外挿はまだ薄いです。
  • 紹介した実験の多くは欧米・実験室の肘や膝の運動です。立川のスタジオや自宅での全身運動に、数値をそのまま当てはめられません。
  • 尿の色が濃い、尿の量が減った、力が入らないといった場合は、通常の筋肉痛ではない可能性があります。医療機関を受診してください。ここに書いたことは一般的な情報提供であり、医学的助言ではありません。

出典

  • Cheung, K. et al. (2003). Delayed onset muscle soreness : treatment strategies and performance factors. Sports Medicine. doi:10.2165/00007256-200333020-00005
  • Nosaka, K. et al. (2002). Delayed-onset muscle soreness does not reflect the magnitude of eccentric exercise-induced muscle damage. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports. doi:10.1034/j.1600-0838.2002.10178.x
  • Herbert, R. D. et al. (2011). Stretching to prevent or reduce muscle soreness after exercise. Cochrane Database of Systematic Reviews. doi:10.1002/14651858.cd004577.pub3
  • Dupuy, O. et al. (2018). An Evidence-Based Approach for Choosing Post-exercise Recovery Techniques to Reduce Markers of Muscle Damage, Soreness, Fatigue, and Inflammation: A Systematic Review With Meta-Analysis. Frontiers in Physiology. doi:10.3389/fphys.2018.00403
  • Davis, H. L. et al. (2020). Effect of sports massage on performance and recovery: a systematic review and meta-analysis. BMJ Open Sport & Exercise Medicine. doi:10.1136/bmjsem-2019-000614
  • McHugh, M. P. (2003). Recent advances in the understanding of the repeated bout effect: the protective effect against muscle damage from a single bout of eccentric exercise. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports. doi:10.1034/j.1600-0838.2003.02477.x
  • Hyldahl, R. D. et al. (2017). Mechanisms and Mediators of the Skeletal Muscle Repeated Bout Effect. Exercise and Sport Sciences Reviews. doi:10.1249/jes.0000000000000095
  • Lilja, M. et al. (2018). High doses of anti-inflammatory drugs compromise muscle strength and hypertrophic adaptations to resistance training in young adults. Acta Physiologica. doi:10.1111/apha.12948
  • Trappe, T. A. et al. (2011). Influence of acetaminophen and ibuprofen on skeletal muscle adaptations to resistance exercise in older adults. American Journal of Physiology-Regulatory, Integrative and Comparative Physiology. doi:10.1152/ajpregu.00611.2010
  • Cornu, C. et al. (2020). Effect of Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs on Sport Performance Indices in Healthy People: a Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Sports Medicine - Open. doi:10.1186/s40798-020-00247-w
  • 日本救急医学会 (2015). 熱中症診療ガイドライン 2015. 日本救急医学会 PDF
  • MedlinePlus (2025). Rhabdomyolysis. medlineplus.gov

さらに詳しく知りたい方へ

この記事では筋肉痛そのものを扱いました。関連する話題は、次の記事で扱っています。

運動そのものの効果について、一次文献にあたった記事があります。
ヨガとピラティスについては、腰痛・体組成・メンタルヘルスなど疾患別・アウトカム別に、コクランレビューやメタアナリシスを読み解いた記事をオンザショア立川店のサイトに公開しています(ピラティスと慢性腰痛、ヨガと腰痛など)。

立川周辺で実際に始める場所を探している方は、スタジオの選び方に、公式情報だけで整理した比較の観点をまとめています。

このサイトと上記2サイトは、いずれも株式会社エッセンが運営しています。利害関係があることを明示したうえで、本文では効果を断定せず、分かっていないことは分かっていないと書いています。

この記事のまとめ

  • 翌日に来る痛みは遅発性筋痛(DOMS)。伸ばされながら力を出す動きや、久しぶりの種目で起きやすい。
  • 原因仮説は6つ。乳酸説はそのひとつで、単独では説明されない。
  • 痛みの強さは損傷の大きさの物差しにならない(回数が5倍でも押したときの痛みは変わらなかった)。
  • ストレッチの予防効果は100点満点で1点前後。臨床的に意味のある減少ではない。
  • 回復法の比較ではマッサージがもっとも効果的とされる一方、マッサージ単体の別のまとめは「小さい改善」と控えめに評価する。成績向上の証拠は乏しい。
  • NSAIDs は若年の高用量常用で適応を弱める報告と、高齢者では抑制されない報告があり、単純化できない。
  • 濃い色の尿が出る、尿の量が減る、力が入らないときは、通常の筋肉痛として扱わず受診を。

よくある質問

筋肉痛は乳酸がたまるからですか?

乳酸説は提案されている6つの仮説のひとつですが、それ単独で説明できるとは考えられていません(Cheung et al., 2003)。総説では「2つ以上の説を統合したものが説明する可能性が高い」とされています。

ストレッチをすれば筋肉痛は防げますか?

コクランレビュー(12研究)では、運動前のストレッチで翌日の痛みは100点満点で0.52点、運動後で1.04点の減少にとどまりました(Herbert et al., 2011)。いずれも信頼区間が0をまたぎ、著者らは臨床的に意味のある減少ではないと結論しています。

マッサージは効きますか?

回復法を比べたメタ分析ではマッサージがもっとも効果的とされました(Dupuy et al., 2018)。一方、マッサージ単体の別メタ分析では、成績指標の改善は見つからず、筋肉痛は「小さいが偶然とは考えにくい改善」と控えめに評価されています(Davis et al., 2020)。

2回目は痛くならないのはなぜですか?

反復運動効果と呼ばれる適応で、一度その運動を行うと次回の筋損傷が軽くなります(McHugh, 2003)。神経・力学・細胞外マトリックスなどが協調する、という整理もありますが、仕組みは未解明です(Hyldahl et al., 2017)。

痛み止めを飲むと筋トレの効果が落ちますか?

若年成人では、論文の国での市販薬の上限量にあたるイブプロフェン(1日1,200mg)の常用で筋肉の体積増加が小さかった、という報告があります(Lilja et al., 2018)。一方、高齢者では抑制されず増大側に見えた報告もあり(Trappe et al., 2011)、年齢や試験の組み方で結果が割れます。